Metaが、AIを前提に組織を大きく作り替える計画を進めていたものの、一部を縮小していたことが分かった。
Reutersが8月26日に報じた調査報道によると、Metaは2026年初め、「Project OT(Organization Transformation)」と呼ばれる組織再編計画を始動。AIエージェントに日常業務の多くを任せ、人間はより少人数のチームで業務を進める「AI-native」な組織を構想していた。
内部のシナリオでは、一部のチームについて最大60%規模を縮小する案も検討されていたという。
ただし、これはMeta全社員の60%を解雇する計画ではない。MetaもReutersに対し、最大60%という数字は一部チームを対象としたシナリオであり、配置転換や空きポジションの削減なども含まれていたと説明している。 (Reuters)
少人数の「AIネイティブ」チームを構想
Metaが目指していたのは、従来の組織にAIを追加するだけではなく、仕事の進め方そのものをAI前提に作り直すことだった。
従来10〜20人程度で構成されていたプロダクト開発チームを、AIを活用する3〜5人程度の小規模な「Pod」に変更。
エンジニアやデザイナーなどの役割を細かく分けるのではなく、AIを使いながら複数の仕事をこなす「Builder」を中心とした組織を想定していた。
2026年6月までに、少なくとも11の部門でこうした小規模チームが導入されていたという。 (Reuters)
AIで作れる量は増えたが、生産性は比例せず
しかし、AI導入によって「作業量」が増えても、それがそのまま企業全体の生産性向上につながるとは限らなかった。
Reutersが確認したMetaの内部資料によると、社内システムなどに対するコード変更件数は前年同期比で220%増加した一方、実際に利用者へ届けられた新機能や改善につながる変更は36%増にとどまった。
さらに、AIエージェントによる大量の処理がシステムへ影響し、重大な技術・セキュリティ関連のインシデントが前年より40%増え、問題対応に費やす時間も70%増えたとする内部データもあった。
Metaは、こうしたAIによる混乱に関する内部データについてReutersへのコメントを控えている。 (Reuters)
2回目の大規模再編を中止
Project OTでは、5月と11月の2段階で組織再編を進める計画だった。
Metaは5月20日に約10%の人員削減を実施したものの、その直前に11月に予定していた2回目の大規模再編の計画を中止した。
背景には、社員からの強い反発や士気の低下に加え、AIエージェントが期待していたほど生産性を向上させていないという社内データがあったとReutersは報じている。
7月にはMark Zuckerberg氏自身も社内集会で、AIエージェント技術の進展が想定したほど速くなかったとの認識を示したという。 (Reuters)
Metaは「人を置き換える」から「人を強化する」方向へ
一方、MetaがAI活用そのものを後退させたわけではない。
Zuckerberg氏は8月に公表したAIの将来像で、AIの最大の価値は単純な自動化ではなく、人々の能力を拡張し、新しいものを生み出せるようにすることだとの考えを示している。
企業の人数は将来的に小さくなる可能性がある一方、それが社会全体の仕事の減少を意味するとは限らないとの見方も示した。 (Facebook)
AI LinkHub解説
今回の事例で重要なのは、「AIが役に立たなかった」という話ではないことです。
MetaではAIによってコードを作る量そのものは大きく増えています。しかし、「作れる量が増えること」と「会社全体の成果が増えること」は別でした。
AIが大量に仕事を処理できても、
● 出力内容を確認する
● 問題が起きたときに修正する
● どの仕事をAIに任せるか判断する
● 最終的な品質に責任を持つ
といった役割は依然として人間側に残ります。
今回のMetaの事例は、現在のAIが「人間を丸ごと置き換える道具」というより、人間の仕事を強化する道具として使った方が成果につながりやすい段階にあることを示す一例と言えそうです。
特に企業がAIを導入するときは、「何人減らせるか」から考えるのではなく、どの仕事をAIに任せれば、人間がより重要な仕事へ時間を使えるかという視点の方が重要なのかもしれません。
情報元
● Reuters:Metaの「Project OT」に関する調査報道
● Meta:Mark Zuckerberg氏「The Future is for Everyone」


コメントを残す